茅ヶ崎市・寒川町・平塚市・藤沢市の空き家問題 – 放置リスクと基本対策

2025.08.20

弊所が主に業務を行っている湘南エリア(茅ヶ崎市・寒川町・平塚市・藤沢市)では、人口減少や高齢化に伴い空き家問題が深刻化しています。

特に、親から引き継いだ実家を相続したものの自身は住まず、長期間放置されるケースが増えています。

そのような空き家を放置すると、建物の倒壊火災など安全面の危険、衛生・景観の悪化による近隣への悪影響、

さらには行政による特定空家指定・行政代執行といった法的措置まで、様々なリスクが生じます。

本記事では、空き家を放置した場合に起こり得る主なリスクと、その基本的な対策について、司法書士の立場から簡潔に解説します。

空き家を放置すると起こるリスク

  • 老朽化と倒壊の危険:人が住まない家屋は急速に老朽化が進みます。特に木造住宅は定期的な換気や手入れを怠ると構造が弱り、小さな地震や台風でも倒壊する恐れがあります。実際に空き家を放置すると建物の劣化が進み、倒壊の危険性が高まります。

  • 防犯・火災のリスク: 空き家は人の目が届かないため、不法侵入や放火など犯罪・火災のリスクが高まります。全国の火災原因でも放火が上位を占めており、庭先に枯草やゴミが散乱した無人の空き家は放火の標的になりやすいと指摘されています。適切に管理されていない空き家は地域の防犯上も大きな不安材料です。

  • 衛生・景観の悪化と近隣トラブル::長期間手入れされない空き家では雑草や庭木が繁茂し、ゴミの不法投棄が発生することもあります。その結果、ネズミやハチ、シロアリなどの害獣・害虫が発生して周囲の生活環境に悪影響を及ぼします。建物の外観も荒れ、景観を損ねるため、近隣住民から苦情が寄せられることもあります。実際、自治体が定める特定空家の指定基準には「周辺の生活環境を損なうこと」「地域の景観を乱すこと」が含まれており、空き家の状態次第では行政から所有者へ改善指導や是正勧告が行われる場合もあります。

  • 行政代執行(強制解体)のリスク::老朽化が著しく倒壊の恐れがあるなど「管理不全」の空き家と判断されると、自治体から修繕や除却(解体)等の命令を受けることがあります。それでも改善されない場合、最終手段として行政代執行により強制的に建物を解体されることがあります。この行政代執行が実施されると、解体費用(場合によっては数百万円以上)が全額所有者に請求され、支払いに応じなければ預貯金や不動産の差押えといった厳しい措置にも発展し得ます。実際に行政代執行で空き家が解体された事例では、後日所有者の財産を差し押さえて費用回収が行われたケースも報告されています。

  • 損害賠償責任::空き家を適切に管理せず放置した結果、建物の倒壊や部材の落下によって近隣の家屋や通行人に被害を与えれば、所有者(相続人)が多額の損害賠償責任を負う可能性があります。とある試算によれば、老朽空き家が倒壊して隣家を全壊させ死亡事故を招いた場合、数千万円から数億円規模の賠償金が発生するケースも想定されています。万一事故が起きれば経済的にも甚大なリスクとなるため、空き家を放置することの危険性は極めて大きいと言えます。

以上のように、空き家をそのまま放置することは様々なリスクを伴います。

では、こうしたリスクを回避するために相続人は何をすべきでしょうか。以下に基本的な対策を説明します。

空き家の放置を防ぐための基本対策

  • 相続登記を実施する::空き家問題への第一歩は、不動産の相続登記(名義変更)を早期に行うことです。国土交通省の統計では、空き家発生原因の約3分の2が「相続登記が完了していないこと」だとされています。このような所有者不明の空き家を減らすため、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したら原則3年以内に登記申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となり得ます。相続登記を済ませて正式に所有者となることで責任の所在が明確になり、売却・活用など後の対応にも着手しやすくなります。空き家を相続した際は、まず速やかに相続登記を行いましょう。

  • 所有者として適切な管理を行う: 名義人・所有者となった以上、空き家とはいえ管理責任を果たす必要があります。法律上も、空き家所有者には他人に危険や迷惑を及ぼさないよう適切に管理する義務があるといえます。具体的には定期的に現地を点検し、換気・清掃や草木の手入れを行いましょう。建物に破損があれば早めに修繕し、侵入防止の施錠や照明設備の点検も重要です。遠方に住んでいる等で自分で管理が難しい場合は、地元の空き家管理サービスや見回り代行を利用するのも一手です。適切な管理を続けることで老朽化の進行や防犯・衛生上の問題を軽減でき、近隣トラブルや行政介入のリスクを下げることにつながります。

  • 利活用や処分を検討する:今後住む予定がない空き家であれば、思い切って利活用処分を検討することも大切です。例えば各自治体が運営する「空き家バンク」に登録して購入・賃貸希望者を募ったり、リフォームして賃貸物件や二次住宅として活用する方法があります。活用が難しい老朽住宅の場合は解体して更地にする選択肢も視野に入れましょう。自治体によっては空き家の除却費用や改修費用に対する補助金制度を設けている場合もあります。不要な空き家を地域に放置せず、誰かに使ってもらうか適切に撤去することで、地域全体の安全・景観の維持にも貢献できます。

相続登記はリスク回避の第一歩:早めの相談を

司法書士として強調したいのは、空き家のリスクを回避するためには相続登記を早期に行うことが肝心だという点です。

たとえ利活用予定のない空き家でも、相続登記を放置すれば罰則や管理責任の追及など様々なリスクが生じます。

空き家を相続した場合こそ、専門家である司法書士に相談しながら早めに手続きを進めることが重要です

相続登記を済ませておけば、自分が正式な所有者として権利を確定できるため、その後の売却や管理・処分の判断もしやすくなります。また、新制度の活用や書類準備など登記手続きには専門知識が必要な部分も多いため、プロに任せることで安心・確実に進めることができます。実際、近年の法改正で相続登記の義務化や各種特例制度(登録免許税の免除措置や相続人申告登記など)が整備されており、司法書士はこうした最新制度を踏まえて適切なアドバイスが可能です。

空き家をそのまま放置してしまう前に、まずは相続登記等の手続き相談を早めに行うことを強くおすすめします。

早期に適切な手続きを取ることで、将来の大きなリスクを未然に防ぎ、大切な資産を有効に活用する道も開けます。

不安なことがあればお気軽に弊所へご相談ください。

専門家のサポートを得て、空き家問題に早めに対処しておくことが、安心・安全な暮らしと地域環境を守ることにつながります。