- 相続手続き
- 海外在住の日本国籍者なのか
- 外国籍者なのか
- 以前は日本国籍だったのか
- 亡くなった方の国籍はどこか
- 日本の不動産、預貯金、証券など、どの財産を手続するのか
- 遺言書の有無を確認する
- 戸籍等を収集し、相続人を確定する
- 不動産、預貯金、証券、債務などを整理する
- 相続人全員で遺産の分け方を合意する
- 提出先ごとに必要な署名証明・住所証明を確認する
- 内容を確定した遺産分割協議書を、原則として未署名の状態で海外へ送る
- 在外公館または現地公証人等で必要な証明を取得する
- 原本を日本へ返送し、相続登記や金融機関の手続を行う
- 戸籍等による相続人の確認
- 相続不動産の調査
- 合意内容に基づく遺産分割協議書の作成
- 署名証明・在留証明など、必要書類の事前整理
- 日本の不動産の相続登記
- 委任内容に応じた預貯金・証券等の相続手続
- 国内外の相続人との書類授受の整理
- 「預貯金や証券を含む相続手続をまとめて進めたい」
- 「国籍等の申出」
- 「費用」
- 「ご相談ください」
- 外務省「在外公館における証明」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000554.html - 外務省「在外公館における電子化した証明書(e-証明書)の発給開始について」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/pagew_000001_01362.html - 法務省「外国に居住しているため印鑑証明書を取得することができない場合の取扱い」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00346.html - 法務省「外国居住の外国人や外国法人が所有権の登記名義人となる登記」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00574.html - 法務省「令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html - 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html - e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」第36条
https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078 - 日本司法書士会連合会「遺産整理業務とは?」
https://souzoku.shiho-shoshi.or.jp/column/031/ - 会社・法人設立
- 2026年10月15日:法務大臣による官報公告、管轄登記所から通知書を発送
- 2026年12月15日:必要な登記または届出の期限
- 2026年12月16日:手続がない対象会社等について、解散したものとみなす日
- 役員変更、本店移転、商号変更など、現在必要となっている登記を申請する
- 必要な登記を直ちに申請しない場合は、「まだ事業を廃止していない」旨を管轄登記所へ届け出る
- 会社・法人の登記事項証明書に記載された最後の登記年月日
- 登記上の本店・主たる事務所と、現在の所在地が一致しているか
- 現在の役員と登記簿上の役員が一致しているか
- 定款上の役員任期と、最後に役員を選任した時期
- 法務局から届いた通知書と回答期限
- 令和8年度の休眠会社等整理作業の対象に該当するか
- 12月15日までに届出と登記のどちらを行うべきか
- 役員の任期がいつ満了しているか
- 株主総会や理事会等で、どの決議が必要か
- 本店、商号、事業目的、役員等に未登記の変更がないか
- みなし解散登記後であれば、会社・法人の継続が可能か
- 法務省「令和8年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」
- 法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」
- 法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」
- 横浜地方法務局「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」
- 法務局「会社・法人の登記、放置していませんか?」
- 土地・家屋の名義変更
- すでに不動産を持っている全ての人に、2026年10月5日から一律の届出期限が生じたわけではありません
- 申し出た国籍等が、通常の登記事項証明書に所有者の情報として表示される制度ではありません
- 氏名
- 氏名の振り仮名(日本国籍を有しない方は、原則としてローマ字氏名)
- 住所
- 生年月日
- メールアドレス
- 国籍等
- 所有権保存登記
- 所有権移転登記
- 所有権の登記を伴う一定の合体による登記等
- 新たに所有権の登記名義人となる人がいる所有権更正登記
- 新築した建物について、初めて所有権保存登記をする
- 不動産を購入し、買主名義へ所有権移転登記をする
- 不動産の贈与を受け、受贈者名義へ変更する
- 相続した不動産を、相続人名義へ変更する
- 本籍地が記載された住民票の写し
- 戸籍の附票の写し
- 戸籍証明書
- 日本国旅券の写しなど
- 国籍または地域が記載された住民票の写し
- 旅券の写し
- 本国官憲が発行した国籍を確認できる書類など
- 海外在住の相続人がいる
- 外国籍の方が日本の不動産を購入または相続する
- 日本人だが海外に居住しており、日本の住民票がない
- 複数の国籍を有している
- 旅券上の氏名と、日本で使用している氏名の表記が異なる
- 海外で作成された証明書に訳文が必要か分からない
- 不動産売買の決済日が近い
- 相続登記で提出する戸籍を国籍確認にも利用できるか確認したい
- 法務省「検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)」
- 法務省「検索用情報の申出に関するQ&A」
- 法務省「スマート変更登記について」
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」
- 登記・供託オンライン申請システム「申請用総合ソフトのバージョンアップ等」
- 法務省民事局「国籍等を入力可能とする対応」
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」
- 相続手続き
- 登記簿上の所有者について相続が開始したこと
- 自分がその所有者の相続人であること
- 不動産の所有権が申出人へ移転したことを公示する
- 各相続人の持分を登記する
- 遺産分割協議を成立させる
- 不動産を売却する
- 不動産へ抵当権を設定する
- 相続登記の期限が近いが、遺産分割協議が終わっていない
- 連絡が取れない相続人がいる
- 相続人が多く、戸籍の収集や協議に時間がかかる
- 遺言の有効性や遺産の範囲について確認が必要である
- 誰が不動産を取得するか決まるまで時間を要する
- 相続人申告登記の申出書
- 登記簿上の所有者が亡くなったことを確認できる戸籍等
- 申出人がその相続人であることを確認できる戸籍等
- 申出人の住所を確認する書類
- 代理人へ依頼する場合の委任状
- 対象不動産の登記事項を確認できる資料
- 亡くなった方名義の不動産がどこにあるか
- 登記簿上の所有者が誰になっているか
- 遺言書があるか
- 誰が相続人となるか
- 通常の相続登記と相続人申告登記のどちらを選ぶか
- 相続登記の期限がいつになるか
- 申告登記を利用すべきか、通常の相続登記を進められるか
- 誰が申出を行い、誰の委任が必要か
- 対象となる不動産に漏れがないか
- 数次相続や代襲相続が発生していないか
- 遺産分割後に必要となる正式な相続登記
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
- 法務省「相続人申告登記について」
- 法務省「相続登記の申請義務化に関する概要資料」
- 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
- 法務省「相続登記の申請義務化の関係法令等」
- 土地・家屋の名義変更
- 所有権の登記名義人本人(法人を含みます)
- その相続人その他の一般承継人
- 上記の人から委任を受けた代理人
- 法務局の窓口へ書面を提出する
- 法務局へ書面を郵送する
- 登記・供託オンライン申請システムから請求する
- 請求人の本人確認に関する書類
- 亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本等、または法定相続情報一覧図の写し
- 過去の氏名や住所も検索する場合は、それを確認できる戸籍、住民票、戸籍の附票など
- 代理人が請求する場合は委任状など
- 書面請求:1,600円
- オンライン請求・郵送交付:1,500円
- オンライン請求・窓口交付:1,470円
- 登記簿上の住所が何度も前の住所のままになっている
- 旧字体・異体字など、氏名の表記に違いがある
- 所有権の登記がなく、建物の表示に関する登記だけがある
- 建物自体が未登記である
- 登記簿がコンピュータ化されていない
- 検索時点で登記申請が審査中で、まだ登記に反映されていない
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書
- 心当たりのある市区町村の名寄帳
- 権利証・登記識別情報通知
- 売買契約書、贈与契約書、遺産分割協議書
- 通帳に記録された固定資産税の引落し
- 住民票の除票、戸籍の附票など、過去の住所を確認できる資料
- 自宅に届いていた土地管理・境界・農地関係の書類
- 誰が相続人になるのか
- 亡くなった方の過去の氏名・住所をどこまで検索するか
- 所有不動産記録証明書以外に、どの資料を確認すべきか
- 後から見つかった土地について、遺産分割や相続登記をどう進めるか
- 不要な土地について、売却・譲渡・国庫帰属のどれを検討するか
海外在住の相続人がいる場合、相続手続はどう進める?署名証明・在留証明を司法書士が解説
「相続人の一人が海外に住んでいて、遺産分割協議書に実印を押せない」
「海外から書類を送ってもらう必要があるが、何を準備すればよいか分からない」
相続人が海外に住んでいても、日本の相続手続を進められる場合は少なくありません。相続人全員が日本へ集まることや、海外在住者が手続のたびに帰国することが、常に必要なわけではありません。
ただし、海外へ転出して日本の印鑑登録がなくなっている場合は、印鑑証明書の代わりとなる「署名証明」を準備することがあります。
不動産を取得する相続人については、住所を証明するため「在留証明」などが必要になる場合もあります。
書類を先に署名してしまうと、在外公館で希望する形式の署名証明を受けられず、遺産分割協議書を作り直すことがあります。
今回は、海外在住の相続人がいる場合の遺産分割協議、相続登記、預貯金等の手続について、書類を準備する順番と注意点を解説します。
まず「海外在住」と「外国籍」を分けて考える
最初に確認したいのは、相続人が住んでいる国だけではありません。
これらによって、準備する証明書や適用される法律の確認方法が変わります。
日本の法の適用に関する通則法第36条は、相続は被相続人の本国法によると定めています。
亡くなった方が外国籍の場合は、「日本に財産があるから全て日本法で処理できる」とは限りません。反致を含め、個別に準拠法を確認する必要があります。
一方、亡くなった方が日本国籍で、相続人の一人が仕事や結婚などで海外に住んでいるケースでは、日本の相続手続を前提に、海外在住者の署名・住所をどの書類で証明するかが主な問題になります。
海外在住の日本人は「署名証明」を利用することがある
日本に住民登録がない方は、通常、日本の印鑑登録証明書を取得できません。
外務省は、海外に在留する日本人に対し、日本の印鑑証明に代わるものとして「署名証明」を発給しています。
申請者が領事の面前で行った署名が本人のものであることを証明するものです。
署名証明には、主に次の2つの形式があります。
形式1
在外公館が発行する証明書と、領事の面前で署名した遺産分割協議書などの私文書を綴り合わせる形式です。
この形式を利用する場合、遺産分割協議書へ事前に署名してはいけません。署名欄を空欄にした書類を持参し、領事の面前で署名します。
形式2
申請者の署名を単独で証明する形式です。
どちらの形式が必要かは、法務局、金融機関、証券会社などの提出先や手続内容によって異なります。
「在外公館で取得しやすい方」を先に選ぶのではなく、書類を作成する司法書士や提出先へ確認してから申請することが重要です。
なお、外国籍の方は、日本の在外公館が日本人向けに発給する署名証明の対象とはなりません。
一般には、居住国の公証人等による署名証明などを検討しますが、国・地域と提出先によって必要な認証や書類が異なります。
住所を証明する「在留証明」
海外在住の日本人が日本の不動産を相続する場合などには、現在の海外住所を証明する書面が必要になります。
在外公館が発給する在留証明は、海外における住所を証明する代表的な書類です。
申請には、日本国籍と本人確認ができる書類のほか、滞在許可証、現地の運転免許証、公共料金の請求書など、住所や滞在期間を確認できる資料が必要になります。
一時帰国後に日本国内の外務省窓口で在留証明を取得することはできません。必要になる可能性がある場合は、海外にいる間に申請方法を確認しておく必要があります。
外国籍の方については、居住国の政府等が発行する住民票に相当する書面、現地公証人の証明を付した宣誓供述書などを検討します。外国語の書類には、日本語訳を添付する必要があります。
どの書類が住所証明として受理されるかは一律ではないため、取得前に登記申請を担当する司法書士と確認してください。
e-証明書は、そのまま使えるとは限らない
外務省は、対象となる在外公館・証明書について、オンライン申請後に電子化した証明書(e-証明書)をオンラインで受け取れる仕組みを案内しています。
ただし、外務省も、提出先によってはe-証明書やその印刷物が受理されず、従来の紙の証明書を求められることがあると注意を促しています。
「オンラインで取得できるから、日本の登記や銀行手続にもそのまま使える」と判断せず、申請前に提出先へ確認する必要があります。
海外在住者がいる遺産分割協議の進め方
書類の往復を減らすには、次の順序で進めるのが基本です。
遺産の内容が確定する前に複数の書類へ署名すると、後から財産や相続人が判明したときに、海外との郵送をやり直すことになります。
先に署名を集めるのではなく、戸籍・財産・提出先の要件を整理してから、必要な書類をまとめて送る方が効率的です。
相続登記の義務は海外在住者にも関係する
海外在住者が日本の不動産を相続した場合も、相続登記の申請義務の対象になります。原則として、不動産を相続により取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。
相続登記では、遺産分割協議書、署名証明、住所証明情報などを確認します。
2026年10月5日以後に個人が新たに不動産の所有権の登記名義人となる場合は、検索用情報として国籍等の申出も必要になります。
海外に居住している方は、住民基本台帳ネットワークによる住所変更の確認ができないため、国内居住者と同じ方法によるスマート変更登記の対象にはなりません。
登記後に海外住所が変わった場合も、住所変更登記の管理が必要です。
銀行・証券会社の相続手続は取扱いが異なる
金融機関の相続手続でも、署名証明、在留証明、戸籍、遺産分割協議書などを求められることがあります。
ただし、必要書類、有効期限、原本還付の可否、外国語書類の取扱いは金融機関ごとに異なります。
不動産登記で受理された書類が、そのまま全ての金融機関で利用できるとは限りません。
複数の銀行・証券会社がある場合は、各社の必要書類を先に照会し、同じ証明書を何通取得するか、原本をどの順番で提出するかを計画します。
司法書士に相談できること
司法書士は、次のような準備や手続を支援できます。
相続人同士で争いがある場合に、一方の代理人として交渉することは司法書士の業務範囲外です。
紛争がある場合は弁護士、相続税や国外財産の税務判断が必要な場合は税理士等への相談が必要になります。
また、亡くなった方が外国籍で外国法の調査が必要な場合、現地法律家や関係機関への確認が必要になることがあります。
まとめ
海外在住の相続人がいても、郵送やオンラインでの打合せを利用し、日本の相続手続を進められる場合があります。
一方、印鑑証明書に代わる署名証明、海外住所を示す在留証明、外国語書類の翻訳など、国内だけの相続とは異なる準備が必要です。
特に、遺産分割協議書へ先に署名してしまうと、希望する形式の署名証明を付けられず、作り直しになることがあります。
相続人の国籍・居住国、亡くなった方の国籍、財産の種類、提出先を確認し、書類を送る前に全体の手順を決めることが大切です。
木村光太朗司法書士事務所では、茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺の相続について、海外在住の相続人がいる場合も、必要書類と手続の順序を整理します。
不動産だけでなく、預貯金や証券を含む相続手続をまとめて進めたい場合も、まずはお手元の資料を基にご相談ください。
FAQ
Q1.海外在住の相続人は、日本へ帰国しなければなりませんか?
必ずしも帰国が必要とは限りません。郵送やオンライン面談を利用し、在外公館の署名証明・在留証明などを準備して進められる場合があります。
ただし、金融機関や個別手続の本人確認方法によっては、別途対応が必要です。
Q2.遺産分割協議書には、先に署名してもよいですか?
署名証明の形式1を利用する場合は、領事の面前で署名する必要があります。先に署名せず、提出先と証明形式を確認してから手続してください。
Q3.海外在住の日本人は実印を押さなくてもよいですか?
日本の印鑑登録がない場合、一般に印鑑証明書の代わりとなる署名証明を利用します。押印の要否や署名方法は提出先と手続内容によって異なるため、書類作成前に確認します。
Q4.在留証明は日本へ一時帰国してから取得できますか?
在留証明は在外公館で発給され、外務省の国内窓口では取得できません。海外にいる間に、管轄の大使館・総領事館へ申請方法を確認してください。
Q5.e-証明書を印刷すれば相続登記に使えますか?
提出先によってはe-証明書または印刷物が受理されず、紙の証明書を求められることがあります。e-証明書を申請する前に、法務局や金融機関等の提出先へ確認が必要です。
Q6.外国籍の相続人も日本の在外公館で署名証明を取得できますか?
日本人向けの署名証明は、原則として日本国籍者が対象です。外国籍の方は、現地公証人による署名証明などを検討します。必要な認証・翻訳は国と提出先によって異なります。
Q7.海外の相続人と意見が対立している場合も司法書士に任せられますか?
司法書士は、相続人の一方を代理して相手方と遺産分割の交渉をすることはできません。対立がある場合は弁護士への相談が必要です。
合意成立後の遺産分割協議書作成や相続登記などは、状況に応じて司法書士が対応できます。
内部リンク
本文中の自然な箇所に次を設定します。
一次情報・出典
公開日・最終更新日:2026年11月2日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
【2026年最新】休眠会社の「みなし解散」に注意|12月15日期限、法務局から通知が届いた会社の対応
「法務局から『休眠会社等の整理作業』という通知が届いた」
「会社は現在も営業しているのに、解散扱いになるの?」
「通知は届いていないが、長い間、役員変更登記をしていない」
このような会社は、通知をそのままにしないでください。
法務省は2026年10月15日、令和8年度の休眠会社・休眠一般法人の整理作業を開始し、対象となる会社・法人へ通知書を発送しました。
対象会社等が2026年12月15日までに必要な登記または「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしない場合、2026年12月16日付で解散したものとみなされ、登記官によって職権で解散の登記がされます。
重要なのは、実際に営業している会社でも、登記を長期間していなければ対象になり得ることです。また、通知書が届かなかったことだけで対象から外れるわけでもありません。
この記事では、2026年10月19日現在の法務省・法務局の公表情報を基に、対象となる会社、期限までに行う手続、届出と役員変更登記の違い、みなし解散後の対応を司法書士が解説します。
令和8年度の期限は2026年12月15日
今年度の主な日程は次のとおりです。
これは、単なる注意喚起ではありません。
会社法第472条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条・第203条に基づく整理作業です。
期限までに所定の手続がなければ、実際には事業を続けていても、登記上は解散した会社・法人として扱われます。
対象になる会社・法人
2026年10月15日時点で、次の条件に該当する会社・法人が対象です。
株式会社
最後に登記をしてから12年を経過している株式会社です。
「設立から12年」ではなく、登記記録上の最後の登記から12年経過しているかで判断します。
そのため、設立後に本店移転、商号変更、役員変更などの登記をしていれば、その登記日を基準に確認します。
一般社団法人・一般財団法人
最後に登記をしてから5年を経過している一般社団法人または一般財団法人です。
合同会社は今回の整理作業の対象か
合同会社は、会社法第472条によるこの休眠会社整理作業の対象ではありません。
ただし、本店、商号、代表社員等の登記事項に変更があった場合の変更登記義務までなくなるわけではありません。
今回の「12年でみなし解散」と、各変更登記の期限は分けて考える必要があります。
「会社は営業中だから大丈夫」ではない
休眠会社という名称から、事業を完全に止めた会社だけが対象だと思われるかもしれません。
しかし、この整理作業では、実際の営業状況ではなく、最後の登記から経過した期間を基準に対象が抽出されます。
売上があり、従業員が働き、税務申告を続けている会社であっても、登記を12年以上していなければ対象になり得ます。
税務署への申告、都道府県や市区町村への届出、社会保険の手続をしていても、法務局の商業・法人登記が自動的に更新されるわけではありません。
通知書が届かなくても対象になることがある
対象会社等には、登記簿上の本店または主たる事務所へ通知書が発送されます。
しかし、本店を移転したのに登記していない、郵便物を受け取れる状態にないなどの理由で、通知が届かない場合があります。
法務省は、通知書が届かなかった場合でも、対象会社等が期限までに手続をしなければ、解散したものとみなされると案内しています。
「通知が来ていないから問題ない」と判断せず、長期間登記をしていない可能性があるときは、会社・法人の登記事項証明書を取得し、最後の登記年月日と現在の登記内容を確認することが大切です。
12月15日までに何をすればよいか
事業を継続している場合の基本的な選択肢は、次の2つです。
ただし、どちらを選んでも全ての問題が解決するわけではありません。
まず登記事項証明書、定款、過去の株主総会議事録、現在の株主・役員の状況などを確認し、どの登記が未了になっているかを整理します。
役員の任期が既に満了している場合は、株主総会等で役員を選任し、議事録や就任承諾書などを準備したうえで、役員変更登記を申請することになります。
会社の機関設計や定款の内容によって、必要な決議や書類は異なります。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出だけで十分か
届出を期限内に行えば、その年度の整理作業によるみなし解散は回避できます。
しかし、この届出は、登記内容を現在の状態へ直す手続ではありません。未了の役員変更登記や本店移転登記が完了するわけではなく、登記義務違反の状態を解消するものでもありません。
必要な登記をしないままであれば、翌年度も休眠会社等の整理作業の対象になる可能性があります。
また、変更登記を期限内に行わなかったことについては、みなし解散とは別に、代表者等が裁判所から過料に処せられる可能性があります。
法務省は、会社法上の登記を怠った場合、100万円以下の過料の対象になり得ると案内しています。
したがって、届出は「今年のみなし解散を避けるための応急対応」となり得ますが、原則として、その後に未了の登記を整理する必要があります。
役員が同じでも「重任登記」が必要
小規模な会社では、代表者や役員が長年同じため、「変更がないので登記も不要」と考えてしまうことがあります。
しかし、役員の任期が満了し、同じ人を改めて選任した場合も、任期満了による退任と再就任が生じます。登記実務では「重任」といい、役員変更登記が必要です。
株式会社の取締役の任期は原則2年、監査役は原則4年ですが、非公開会社では定款によって最長10年まで伸長していることがあります。
実際の任期は、会社の定款、役員を選任した株主総会の日、事業年度、過去の登記内容を照合して判断します。「10年ごとに登記すればよい」と一律には判断できません。
みなし解散の登記がされるとどうなるか
みなし解散の登記がされると、会社は清算手続を進める状態になります。
法務局の案内では、解散登記後は会社・法人の印鑑証明書や代表者事項証明書を取得できなくなります。
金融機関、取引先、許認可手続などへの影響も考えられるため、事業を継続している会社にとっては重大です。
株式会社は、みなし解散から3年以内であれば、株主総会の特別決議により会社を継続できる場合があります。
一般社団法人・一般財団法人も、法定の特別決議によって継続できる場合があります。
継続を決議した場合は、原則として2週間以内に会社・法人の継続登記を申請します。
さらに、役員選任や清算人関係など、個別の状況に応じた登記が必要になることがあります。
みなし解散後の継続は、期限前の届出や登記より手続が複雑になります。通知に気付いた段階で早めに対応する方が安全です。
まず確認したい5つのこと
通知書がある場合は、封筒を含めて保管してください。登記事項証明書が手元になくても、会社名と本店所在地が分かれば調査を始められます。
司法書士に相談できること
司法書士は、会社・法人の登記記録と定款、議事録等を確認し、必要な商業・法人登記の申請を代理できます。
木村光太朗司法書士事務所では、次の点を整理します。
税務申告や社会保険、許認可への影響は、それぞれ税理士、社会保険労務士、行政書士、所管行政庁等への確認が必要になることがあります。
当事務所では、司法書士が対応できる登記手続と、他の専門家・機関へ確認すべき事項を分けてご案内します。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、法務局から休眠会社に関する通知が届いた方や、長年会社登記をしていない方は、期限直前になる前にご相談ください。
まとめ
2026年10月15日時点で、最後の登記から12年を経過している株式会社、または5年を経過している一般社団法人・一般財団法人は、令和8年度の休眠会社等整理作業の対象です。
事業を続けている場合は、2026年12月15日までに、必要な登記または「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行う必要があります。
通知が届いていない場合でも、対象から外れるとは限りません。また、届出だけでは未了の登記は解消されません。
登記事項証明書、定款、役員の選任記録を確認し、期限内の対応と、その後に必要な登記を分けて整理することが重要です。
FAQ
Q1.会社は営業中です。それでもみなし解散の対象になりますか?
はい。実際の営業状況ではなく、最後の登記から経過した期間によって対象が判断されます。
営業中でも、株式会社で最後の登記から12年を経過していれば対象になり得ます。
Q2.法務局から通知が届いていません。手続は不要ですか?
通知が届かなかったことだけで対象から外れるわけではありません。
本店移転が未登記の場合など、登記上の所在地へ通知が届かないことがあります。登記事項証明書で最後の登記年月日を確認してください。
Q3.合同会社も12年登記しないと解散になりますか?
合同会社は、今回の会社法第472条による休眠会社整理作業の対象ではありません。
ただし、登記事項に変更が生じた場合の変更登記義務は別にあります。
Q4.同じ取締役が続けて就任する場合も登記が必要ですか?
必要です。任期満了後に同じ人を再び選任する場合も、登記上は「重任」として役員変更登記を行います。
Q5.「事業を廃止していない」旨の届出をすれば、役員変更登記は不要になりますか?
不要にはなりません。届出はその年度のみなし解散を避ける手続であり、未了の役員変更登記等を完了させるものではありません。
必要な登記をしなければ、翌年度も整理作業の対象になる可能性があります。
Q6.既にみなし解散の登記がされていました。会社を続けられますか?
株式会社は、みなし解散から3年以内であれば、株主総会の特別決議により会社を継続できる場合があります。
継続決議後は期限内に登記が必要です。会社の状態により必要な決議・登記が異なるため、個別確認が必要です。
Q7.相談時に何を持参すればよいですか?
法務局からの通知書、定款、過去の株主総会議事録、現在の株主・役員の状況が分かる資料、会社の印鑑証明書や登記事項証明書があればお持ちください。
全て揃っていなくても、会社名と本店所在地から確認を始められます。
一次情報・出典
公開日・最終更新日:2026年10月19日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
不動産登記で国籍等の申出が必要に|日本人も対象?2026年10月5日開始の新制度を司法書士が解説
「不動産を持っている人は、全員が国籍を届け出なければならないの?」
「日本人も対象になるの?」
「国籍が登記簿に載り、誰でも見られるようになるの?」
2026年10月5日から、不動産登記に関する「検索用情報」の取扱いが変わりました。
所有権の保存登記や移転登記などによって、個人が新たに不動産の所有権の登記名義人となる場合、氏名、住所、生年月日、メールアドレスなどに加え、国籍等を法務局へ申し出ることになりました。
この制度は外国籍の方だけでなく、日本国籍の方も対象です。
ただし、結論を先にまとめると、次の2点には注意が必要です。
今回は、2026年10月12日現在の法務省・法務局の公表情報を基に、対象となる登記、必要書類、既存の所有者への影響、実務上の注意点を司法書士が解説します。
何が変わったのか
不動産の所有者については、住所等変更登記を職権で行う「スマート変更登記」に向けて、氏名や住所などの検索用情報を法務局へ申し出る仕組みが設けられています。
2026年10月5日以後に検索用情報を申し出る場合、その項目に「国籍等」が追加されました。
検索用情報として申し出る主な事項は、次のとおりです。
日本国籍の方は「日本」、外国籍の方は該当する国または地域を申し出ます。
複数の国籍を有する場合など、個別の取扱いが必要なケースもあります。
どのような登記が対象になるのか
主に、個人が新たに所有権の登記名義人となる次の登記が対象です。
一般の方に関係しやすいのは、次の場面です。
売買であれば、基本的には新たに所有者となる買主について国籍等を申し出ます。
相続登記では、新たに登記名義人となる相続人について確認します。
日本人も対象になる
「国籍等の申出」と聞くと、外国籍の方だけを対象にした制度と思われるかもしれません。
しかし、対象となる登記によって個人が所有権の登記名義人となる場合、日本国籍の方も原則として国籍等を申し出ます。
日本国籍の方については、国籍等を「日本」として申し出ます。
一方、法人は自然人を対象とする今回の国籍等の申出とは別の取扱いです。法人については、会社法人等番号などの法人識別事項に関する制度があります。
国籍が登記簿に公開されるわけではない
今回の改正で申し出る国籍等は、法務局が管理する検索用情報です。
所有者の氏名や住所のように、不動産の登記事項証明書へ国籍が所有者情報として表示され、誰でも確認できるようになる制度ではありません。
したがって、「登記簿を取れば、その所有者が日本人か外国人か分かるようになる」という理解は正確ではありません。
法律上の登記事項と、住所等変更登記などのために法務局が管理する検索用情報は、分けて考える必要があります。
すでに不動産を所有している人も、今すぐ申出が必要か
2026年10月5日より前から自宅、土地、マンションなどを所有しているというだけで、全ての個人に対して一律に「国籍だけを直ちに届け出る期限」が設けられたわけではありません。
今後、売買、贈与、相続、新築などにより、対象となる所有権の登記を申請する際には、新たに登記名義人となる方の検索用情報として国籍等を確認します。
また、すでに所有権の登記名義人となっている国内住所の個人は、スマート変更登記を利用するため、検索用情報を単独で申し出ることができます。
その場合も、2026年10月5日以後は国籍等を含めて申し出ます。
ただし、外国に住所がある方は、住民基本台帳ネットワークによる住所変更の確認ができないため、国内住所の方と同じようにスマート変更登記が行われるわけではありません。
住所変更登記の管理は別途必要です。
国籍等を証明する書類
国籍等を申し出る際は、申出内容を確認できる資料が必要になる場合があります。
法務省が例示している主な資料は次のとおりです。
日本国籍の方
相続登記で相続関係を確認するための戸籍を既に提出する場合など、同じ資料で国籍等も確認でき、別の証明書を重ねて提出する必要がないことがあります。
また、住民票コードを提供し、登記官が住民基本台帳ネットワークで日本国籍を確認できる場合には、国籍等を証する書類の提出を省略できることがあります。
外国籍の方
海外で作成された書類については、日本語の訳文が必要になる場合があります。
住所地、国籍、申請する登記の内容によって必要書類が異なるため、決済日や申請日より前に確認することが重要です。
国籍等を記載し忘れたら、登記はどうなるのか
検索用情報の申出が不足している場合、登記所から申出や資料の追加について連絡を受ける可能性があります。
法務省の検索用情報に関するQ&Aでは、検索用情報の申出がないことだけで所有権の登記申請を却下するものではないと説明されています。
ただし、必要事項を空欄のままにしてよいという意味ではありません。
申請内容の確認や追加対応によって登記完了までの日程に影響する可能性があるため、申請前に国籍等と証明資料を確認しておくべきです。
また、今回の国籍等の申出と、相続登記や住所等変更登記の申請義務は別の制度です。
国籍等を申し出たからといって、相続登記や住所変更登記を済ませたことにはなりません。
司法書士へ相談した方がよいケース
次のような場合は、早めに必要書類と申請方法を確認することをおすすめします。
木村光太朗司法書士事務所では、不動産売買、贈与、相続、新築に伴う所有権登記について、国籍等の申出を含めた必要書類を事前に整理します。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で不動産登記を予定している方や、海外在住・外国籍の当事者がいる登記についてお困りの方は、ご相談ください。
まとめ
2026年10月5日から、個人が所有権の登記名義人となる一定の登記では、検索用情報として国籍等の申出が必要になりました。
対象は外国籍の方だけではなく、日本国籍の方も含まれます。
一方、今回の制度は、国籍を通常の登記事項証明書へ表示するものではありません。また、すでに不動産を持っている全ての人に、国籍だけを直ちに届け出る一律の期限が生じたわけでもありません。
売買、相続、贈与、新築などを予定している場合は、新たに所有者となる方の国籍等と、その証明資料を申請前に確認することが大切です。
FAQ
Q1.日本人も国籍等を申し出る必要がありますか?
はい。対象となる所有権の登記によって個人が新たに登記名義人となる場合、日本国籍の方も原則として「日本」と申し出ます。
Q2.以前から自宅を所有しています。今すぐ国籍の届出が必要ですか?
自宅を以前から所有しているという理由だけで、全ての方に国籍だけを直ちに届け出る一律の期限が生じたわけではありません。
今後、対象となる所有権登記を申請する場合や、既存所有者として検索用情報を単独で申し出る場合に確認します。
Q3.国籍は登記事項証明書に表示されますか?
今回申し出る国籍等は法務局が管理する検索用情報であり、通常の登記事項証明書に所有者の国籍が表示される制度ではありません。
Q4.相続登記も対象ですか?
対象です。相続によって新たに所有権の登記名義人となる相続人について、国籍等を申し出ます。
提出する戸籍で国籍等も確認できる場合は、同じ内容の資料を重ねて提出する必要がないことがあります。
Q5.会社名義で不動産を取得する場合も国籍を申し出ますか?
今回の国籍等の申出は、所有権の登記名義人となる個人についての制度です。
法人は、会社法人等番号などの法人識別事項に関する別の取扱いとなります。
Q6.外国籍の場合は何を準備しますか?
国籍等が記載された住民票の写し、旅券の写し、本国官憲が発行した証明書などが考えられます。
海外の書類には日本語の訳文が必要になる場合があります。具体的な書類は、住所地と登記内容に応じて確認します。
Q7.国籍等の申出を忘れると、登記申請は必ず却下されますか?
法務省のQ&Aでは、検索用情報の申出がないことだけで登記申請を却下するものではないとされています。
ただし、登記所から申出や追加資料の確認を求められる可能性があるため、最初から正確に準備することが重要です。
一次情報・出典
公開日・最終更新日:2026年10月13日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
相続人申告登記とは?遺産分割がまとまらないときの2027年期限対策を司法書士が解説
「父名義の実家について、兄弟の話し合いがまとまらない」
「連絡が取れない相続人がいるため、相続登記を進められない」
「2027年3月31日の期限が近いが、誰が不動産を取得するか決まっていない」
過去に発生した相続についても、相続登記の義務化は適用されます。
2024年4月1日より前から不動産を相続したことを知っていた場合、相続登記の期限は原則として2027年3月31日です。
しかし、相続人全員の話し合いが終わらなければ、遺産分割の内容に基づく相続登記はできません。
このようなときに、期限内の義務履行のために利用できるのが「相続人申告登記」です。
相続人申告登記は、通常の相続登記より簡易な手続ですが、不動産の名義を相続人へ変更する制度ではありません。
できることと、できないことを理解して選ぶ必要があります。
今回は、2026年9月28日現在の法務省の公表情報を基に、期限の考え方、相続人申告登記の効果、必要書類、手続後の注意点を解説します。
過去の相続にも相続登記の義務がある
相続登記の申請義務化は、2024年4月1日に始まりました。
原則として、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
義務化が始まる前に発生した相続も対象です。2024年4月1日より前から、不動産を相続したことを知っていた場合の期限は、原則として2027年3月31日です。
一方、2024年4月1日以後になって初めて、自分が不動産を相続したことを知った場合は、その知った日から3年以内が期限となります。
したがって、全ての過去の相続について一律に2027年3月31日が期限になるわけではありません。
相続の発生時期だけでなく、不動産を相続したことを知った時期も確認する必要があります。
正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
ただし、期限を過ぎた瞬間に自動的に過料が科されるという仕組みではありません。
法務省は、登記官が義務違反を把握した場合、原則として、まず登記申請をするよう催告し、それでも正当な理由なく申請しないときに裁判所へ過料事件の通知をする運用を示しています。
過料の有無だけでなく、相続人が増えて手続が複雑になる、売却や担保設定ができないといった不利益を避けるためにも、早めの整理が大切です。
相続人申告登記とは
相続人申告登記は、相続登記の期限内に遺産分割がまとまらない場合などに、簡易な方法で基本的な申請義務を履行できる制度です。
申出をする人は、対象となる不動産を特定したうえで、法務局に次の事実を申し出ます。
登記官が審査した後、申出をした相続人の氏名や住所などが登記簿に付記されます。
共同相続人の一人が、自分の分だけ単独で申し出ることができます。他の相続人の分もまとめて代理で申し出ることはできますが、その場合は各相続人からの委任が必要です。
重要なのは、一人が自分について申出をしただけで、他の相続人全員の義務まで履行されたことにはならないという点です。
各相続人が自分で申し出るか、代表者へ委任してまとめて申し出る必要があります。
相続人申告登記でできること
相続人申告登記を期限内に行うと、その申出をした相続人については、相続登記に関する基本的な申請義務を履行したものとみなされます。
通常の相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍などを集め、法定相続人全員を確認する場面が多くあります。
相続人申告登記では、原則として、申出をする本人が被相続人の相続人であることを確認できる範囲の戸籍で手続を進められます。
また、申出に登録免許税はかかりません。ただし、戸籍謄本等の取得費用や、司法書士へ依頼する場合の報酬などは別途必要です。
期限が迫る一方で、遺産分割協議の成立まで時間を要する場合には、現実的な選択肢となります。
相続人申告登記ではできないこと
相続人申告登記は「通常の相続登記の代わり」ではありません。
申出をしても、次のことは解決しません。
相続人申告登記をしただけでは、売却に必要な所有権移転の前提が整いません。
不動産を売る場合や融資の担保に入れる場合などは、最終的に通常の相続登記が必要です。
「申告登記をしたから相続手続は全て終了した」と誤解しないことが重要です。
遺産分割が成立した後は、改めて登記が必要
相続人申告登記をした後に遺産分割が成立し、その結果として不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請しなければなりません。
この追加的な義務は、先に行った相続人申告登記だけでは履行できません。
つまり、相続人申告登記は、話し合いが終わるまでの間に基本的な義務を果たすための制度です。
その後、遺産分割がまとまった段階で、正式な名義変更を行う必要があります。
相続人申告登記が向いているケース
次のような場合には、相続人申告登記を検討する余地があります。
一方、相続人と遺産分割の内容がすでに確定している場合は、相続人申告登記を経由せず、通常の相続登記を行う方が一度で手続を終えられることがあります。
期限まで時間がある場合も、最初から相続人申告登記に決めるのではなく、通常の相続登記が可能かを先に確認することが大切です。
一般的に準備する書類
具体的な書類は相続関係や申出方法によって異なりますが、一般的には次の資料を確認します。
申出書に住民票上の氏名のふりがなと生年月日を記載した場合、住基ネットによる確認が可能となり、住所を確認する書類を省略できる場合があります。
数代にわたって相続登記がされていない場合は、中間の相続関係を確認する戸籍が追加で必要になるなど、書類が複雑になります。
期限までに確認したい5つのこと
不動産の場所が分からない場合は、2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度も調査手段になります。
ただし、検索条件によっては不動産が抽出されないことがあります。詳しくは「親名義の不動産をどう探す?所有不動産記録証明制度」をご参照ください。
なお、100万円以下の土地などについて設けられている相続登記の登録免許税の免税措置も、現行の公表内容では2027年3月31日までです。
適用条件があるため、全ての相続登記が免税になるわけではありません。
司法書士に相談できること
司法書士は、相続登記や相続人申告登記の申出について、書類作成、戸籍の確認、法務局への手続などを支援できます。
当事務所では、次の点を整理します。
相続人間に法的な争いがあり、交渉や遺産分割調停等が必要な場合は、司法書士が扱える業務の範囲を確認したうえで、必要に応じて弁護士等の適切な相談先をご案内します。
まとめ
2024年4月1日より前から不動産を相続したことを知っていた場合、相続登記の期限は原則として2027年3月31日です。
遺産分割がまとまらないからといって、何もしないまま期限を迎える必要はありません。
相続人申告登記により、申出をした相続人について、基本的な申請義務を履行できる場合があります。
ただし、相続人申告登記は名義変更ではなく、不動産の売却や担保設定もできません。
遺産分割成立後は、その内容に基づく相続登記が改めて必要です。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、古い相続登記、話し合いが終わっていない相続、相続人申告登記についてお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
現在の資料を確認し、期限と選択肢を整理します。
FAQ
Q1.相続人の一人だけで相続人申告登記を申し出られますか?
はい。共同相続人の一人が、自分について単独で申し出ることができます。
他の相続人の分もまとめて代理で申し出る場合は、その相続人からの委任が必要です。
Q2.一人が申し出れば、相続人全員の義務が履行されますか?
いいえ。自分についてだけ申し出た場合、義務を履行したものとみなされるのは申出人本人です。
他の相続人は、それぞれ申し出るか、代表者へ委任して手続を行う必要があります。
Q3.相続人申告登記をすると、不動産は自分名義になりますか?
なりません。相続人申告登記は、所有権の移転や持分を公示する登記ではありません。
正式な名義変更には、別途、相続登記が必要です。
Q4.申告登記をした不動産を売却できますか?
相続人申告登記だけでは売却できません。
売却するには、遺産分割等を整え、取得者への相続登記を行う必要があります。
Q5.遺産分割が成立した後も、申告登記のままでよいですか?
いいえ。遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を申請する義務があります。
Q6.相続人申告登記に登録免許税はかかりますか?
申出に登録免許税はかかりません。
ただし、戸籍等の取得費用、郵送料、司法書士へ依頼する場合の報酬などは別途必要です。
Q7.2027年3月31日を過ぎると、すぐ過料になりますか?
期限経過と同時に自動的に過料が科される仕組みではありません。
法務省は、登記官が義務違反を把握した場合には、原則としてまず催告する運用を示しています。
ただし、正当な理由なく義務に違反すれば10万円以下の過料の対象となる可能性があるため、期限前の対応が重要です。
一次情報・出典
公開日・最終更新日:2026年10月5日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)
親名義の不動産をどう探す?2026年開始の所有不動産記録証明制度を司法書士が解説
「父は地方にも土地を持っていると言っていたが、場所が分からない」
「固定資産税の通知書に載っている不動産だけで、本当に全部なのだろうか」
「相続登記が済んだと思っていたのに、後から別の土地が見つかった」
相続手続では、亡くなった方が所有していた不動産を正確に把握することが出発点です。
しかし、不動産の登記記録は土地・建物ごとに作成されているため、これまでは全国の不動産を名義人からまとめて確認する仕組みがありませんでした。
そこで2026年2月2日から始まったのが「所有不動産記録証明制度」です。
この制度を利用すると、本人またはその相続人などが法務局へ請求し、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧にした証明書を取得できます。
ただし、この証明書だけで全ての不動産が必ず判明するわけではありません。今回は、制度で分かること、請求できる人、費用、必要書類に加え、登記実務上の検索漏れを防ぐポイントを解説します。
所有不動産記録証明制度とは
所有不動産記録証明制度は、登記官が、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を検索し、一覧化して証明する制度です。
制度の主な目的は、相続人が亡くなった方名義の不動産を把握しやすくし、相続登記の漏れを防ぐことにあります。
従来は、固定資産税の納税通知書、市区町村の名寄帳、権利証、売買契約書などを手掛かりに不動産を調べることが一般的でした。
しかし、固定資産税や名寄帳は市区町村単位で管理されており、別の自治体にある土地まで一度に確認することはできません。
新制度により、最寄りの法務局へ請求し、登記情報を基に不動産を横断的に調べられるようになりました。書面請求のほか、郵送やオンラインによる請求も可能です。
誰が請求できるのか
法律上、請求できる主な人は次のとおりです。
相続人であれば、相続人全員が共同で請求する必要はなく、一人から請求できます。ただし、亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなどが必要です。
第三者が興味本位で他人の所有不動産を調べられる制度ではありません。
どこで、どのように請求するのか
請求先は、全国の法務局・地方法務局、その支局・出張所です。不動産の所在地を管轄する法務局に限られず、最寄りの法務局へ請求できます。
請求方法は次の3通りです。
オンライン請求では、申請用総合ソフトと電子署名が必要です。
請求してから交付までの日数は法務局によって異なるため、急ぐ場合は請求先へ確認してください。
必要書類
相続人が、亡くなった方名義の不動産について請求する場合、一般的には次の資料を準備します。
具体的な添付書類は、窓口・郵送・オンラインの別や、請求人の立場によって異なります。
不足があると補完を求められ、一定期間内に補完できなければ証明書が交付されない場合があります。
手数料は「検索条件ごと」にかかる
手数料は、検索条件1件につき、証明書1通当たり次の金額です。
ここで注意したいのが、「1人につき1,600円」ではなく、「検索条件1件につき1,600円」という点です。
現在の住所に加え、過去の住所を3つ検索条件として指定する場合、検索条件は合計4件です。書面で1通請求するなら、4件×1,600円で6,400円となります。
該当する不動産が見つからなかった場合も、手数料は返還されません。
「載っていない=不動産がない」とは限らない
この制度を利用するうえで、最も大切な注意点です。
所有不動産記録証明書は、請求書に記載した氏名・住所などを検索条件として作成されます。
そのため、検索条件と登記記録が一致しないと、不動産が抽出されない場合があります。
例えば、次のような不動産は注意が必要です。
また、検索条件が一致する同姓同名の別人の不動産が抽出される可能性もあります。
したがって、この証明書は不動産調査の有力な資料ですが、「亡くなった方の不動産がこれで全てである」ことを完全に保証するものではありません。
検索漏れを減らすために確認したい資料
実務上は、所有不動産記録証明書だけに頼らず、次の資料を組み合わせて調査します。
特に、転居回数が多い方や、先代から相続した土地を持っていた方については、過去の住所をどこまで検索条件に入れるかが重要です。
証明書を取った後に行うこと
証明書に不動産が記載されていても、それだけで相続登記が完了するわけではありません。
記載された土地・建物ごとに登記事項証明書を取得し、所有者、共有持分、抵当権などの権利関係を確認します。
そのうえで、遺言書の有無、相続人、遺産分割の内容を整理し、相続登記を申請します。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
2024年4月1日より前に始まった相続についても、原則として2027年3月31日までに対応が必要です。
調査で利用予定のない土地が見つかった場合は、売却、隣接地所有者への譲渡、相続土地国庫帰属制度なども比較します。
相続土地国庫帰属制度については、当事務所の関連記事「相続土地国庫帰属制度は実際に使える?」もご参照ください。
司法書士に相談できること
司法書士は、相続人や住所履歴の確認、所有不動産記録証明書の請求、証明書に記載された不動産の登記調査、相続登記まで一連の手続を支援できます。
当事務所では、次のような点を整理します。
預貯金、証券、不動産などの相続手続をまとめて進めたい場合は、「相続手続きをまとめて任せる遺産整理業務とは?」もご覧ください。
まとめ
所有不動産記録証明制度は、亡くなった方名義の不動産を把握し、相続登記の漏れを防ぐための有力な制度です。
最寄りの法務局から請求でき、不動産の所在地ごとに別々の法務局を回る必要はありません。
一方、検索は氏名・住所などの条件を基に行われるため、古い住所のままの登記、未登記建物、非コンピュータ化登記簿などが漏れる可能性があります。
「証明書に載っているものが全て」と決めつけず、固定資産税の資料、名寄帳、権利証、過去の住所履歴などと照合することが大切です。
茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町、平塚市周辺で、親名義の不動産調査や相続登記にお困りの方は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
資料が十分にそろっていない段階でも、何から確認すべきか整理します。
FAQ
Q1.自分自身の所有不動産も調べられますか?
はい。所有権の登記名義人本人も請求できます。将来の相続に備えて、所有不動産を整理する目的にも利用できます。
Q2.相続人の一人だけでも請求できますか?
請求できます。相続人全員の共同請求は必要ありません。
ただし、亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍謄本等または法定相続情報一覧図の写しなどが必要です。
Q3.全国にある不動産が必ず全て載りますか?
必ず全て載るとは限りません。検索条件と登記記録上の氏名・住所が一致しない不動産、所有権登記がない不動産、非コンピュータ化登記簿などは抽出されないことがあります。
Q4.未登記の建物も分かりますか?
分かりません。検索対象は所有権の登記がされている不動産です。
表示に関する登記だけの建物や、登記自体がない建物は対象外です。
Q5.「該当なし」の証明書が出れば、不動産はないと判断できますか?
それだけで断定はできません。旧住所や氏名表記の違いにより検索から漏れている可能性があるため、名寄帳、固定資産税資料、権利証なども確認します。
Q6.費用はいくらですか?
検索条件1件・証明書1通当たり、書面請求は1,600円、オンライン請求は受領方法に応じて1,500円または1,470円です。
過去の住所等を複数指定すると、その件数に応じて手数料が増えます。
Q7.司法書士に依頼できますか?
司法書士は、委任を受けて証明書の請求を行い、その後の登記調査や相続登記まで支援できます。
旧住所の整理や、証明書以外の資料との照合も含めて相談できます。
出典
公開日・最終更新日:2026年9月29日
執筆・監修:司法書士 木村光太朗(木村光太朗司法書士事務所)


