年末に準備する相続手続きのポイント

    2025年11月24日
    • 相続手続き

    年末は家族が集まる機会も増え、相続について話し合う良いタイミングです。

    今回は、相続手続きで最初に確認すべきことや準備すべきことを整理しました。

    早めにチェックしておくことで、万が一の際に慌てずに済みます。

    ✅ 1. 遺言書の有無を確認する

    相続が発生したとき、まず確認すべきは 遺言書 の有無です。

    遺言書があれば、その内容が優先されます。

    年末のうちに家族間で「遺言があるかどうか」を共有しておきましょう。

    • 公正証書遺言なら、法務局や公証役場の「遺言検索システム」などで確認できます。

    • 自筆証書遺言の場合は、自宅や金庫、銀行の貸金庫などにないかを探しておきましょう。見つかった場合は、封を開けずに家庭裁判所で検認手続きを行います。

    ✅ 2. 相続人を把握する

    遺言がない場合は民法の規定に従って相続人を確定する必要があります。

    法定相続人は配偶者や子、親、兄弟姉妹など、順位が決まっているため、戸籍の調査が必要です。


    年末のうちに、家族構成を整理し、誰が相続人となるのかを家族で確認しておくと、相続開始後の手続きがスムーズです。

    ✅ 3. 相続財産をリストアップする

    相続財産には預貯金や不動産だけでなく、株式や車、さらに借金などの負債も含まれます。

    プラスもマイナスもすべてリストアップしておくことが重要です。

    特に以下の項目はチェックしておきましょう。

    • 銀行口座、株式や投資信託などの証券

    • 不動産の所在地や名義

    • 生命保険や年金の加入状況

    • 借入金、ローン、滞納している税金など

    被相続人が所有していた不動産がある場合、相続後には登記手続きや相続税の申告が必要です。

    新たな法律で相続登記の義務化が進んでおり、相続を知ってから3年以内に名義変更をしないと過料が科されることもあります。

    ✅ 4. 遺産分割の話し合い準備

    遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

    • 年末年始に家族が集まったタイミングで、資産の概略や将来の分け方について意見交換しておくと、後々のトラブル防止につながります。

    • 誰が実家を引き継ぐか、預貯金はどのように分けるかなど、話し合いのポイントを整理しておきましょう。

    ✅ 5. 必要書類の準備を進める

    相続開始後に慌てないためにも、必要書類を事前に確認しておきましょう。

    • 被相続人の戸籍謄本や住民票の除票

    • 相続人全員の戸籍謄本・住民票

    • 不動産の登記事項証明書など
      年末の落ち着いた時期に公的書類を集めておくと、いざというときに手続きが円滑になります。


    年末は相続準備を始める絶好の機会です。家族で話し合い、遺言書の有無や相続人・財産の確認を進めましょう。

    次回は、相続税対策の基礎知識と節税のポイントについて解説します。

    【役員変更登記】を怠るとどうなる?知人や同業者にも伝えたい注意点

    2025年11月13日
    • 会社・法人設立

    役員(取締役、監査役、理事など)が交代したときは、登記後2週間以内に法務局へ変更登記を申請しなければなりません。

    株式会社の場合は、原則10年一般社団法人やNPO法人の場合は原則2年です。

    特に株式会社の場合、10年に一度の手続きなんて、会社内の誰も記憶に無いのではないでしょうか・・

    ついつい後回しにしてしまいがちですが、放置すると思わぬトラブルの原因になります。ここでは、役員変更登記を怠った場合の主なリスクと、今すぐできる対策をコンパクトにご紹介します。

     

    ✅ 過料の支払い:最大で数十万円の負担も

    役員変更登記を怠ると、法人ではなく代表者個人に過料(行政上のペナルティ)が科されます。

    金額は数万円程度の場合が多いですが、事業の資金繰りに直結する出費である上、代表者個人の責任となるため、早めに手続きを済ませるに越したことはありません。

     

    ✅ 社会的信用の失墜:融資や取引が不利に

    登記情報は誰でも閲覧できる公開情報です。登記簿の役員欄が実態と異なるままでは、「法的管理が甘い会社」と見なされてしまいます。

    銀行の融資審査でマイナス評価になったり、新たな取引先から敬遠されたり、公的な補助金・助成金の申請が通りにくくなったり

    というケースも報告されています。役員登記は会社の“名刺”のようなものですので、最新情報の維持は信用力の維持に直結します。

     

    ✅ “休眠会社”扱い→解散の恐れ

    長い間登記を更新していないと、法務局から「休眠会社」とみなされ官報で通知されることがあります。

    通知後も変更登記や届出をしない場合、自動的に解散処理が行われることもあるので要注意です。登記の放置は会社の存続すら危ぶまれるリスクをはらんでいます。

     

    ✅ 今すぐできる!役員変更の登記対策

    任期をカレンダーで管理し、任期満了前に株主総会や理事会を開いて選任・退任の決議をする。

    議事録や就任承諾書などの準備を計画的に進め、役員変更後すぐに登記申請できるようにする。

    手続きが煩雑な場合は、司法書士などの専門家に依頼して正確かつ迅速に処理してもらう。

     

    役員変更登記は、2週間以内に行うべき法律上の義務です。

    「うちは小さな会社だから…」と後回しにしていると、思わぬ罰金や信用低下につながってしまいます。

    経営者や代表者の方は、この機会に自社の登記情報を確認し、必要な変更があれば早めに手続きを進めましょう。

    もしご不安があれば、専門家に相談することも大切です。法的手続きをきちんと行うことで、会社の信用と安定経営を守りましょう。

    家族信託シリーズ 第4回:親が認知症になる前に備える家族信託の活用法

    2025年11月8日
    • 生前相続のご準備

    茅ヶ崎や寒川、藤沢など神奈川湘南地域でも、高齢の親の認知症対策として「家族信託」を活用するケースが増えてきています。

    親が認知症になって判断能力を失うと、銀行口座が凍結されて家族であっても預貯金を引き出せなくなったり、不動産の売却や契約行為ができなくなったりする恐れがあります。

    そのような事態に備え、親が元気なうちから家族信託を組んでおけば、親御さんの財産を柔軟に管理し、親の生活や相続対策に役立てることができます。

    本記事では、認知症になる前に備える家族信託の活用法について、家族信託が有効な理由任意後見制度との違い信託の仕組み契約のポイント、そして家族の合意形成の重要性を解説します。

     

    家族信託が認知症対策として有効な理由

    親が認知症を発症すると、本人名義の財産は資産凍結され、家族であっても勝手に動かすことができなくなります。

    例えば、親名義の銀行口座からお金を引き出したり、自宅などの不動産を売却したりするには、親御さんに判断能力が必要ですが、認知症が進むとこれらが困難になります。

    しかし、家族信託を利用して親の財産を信頼できる家族に託しておけば、親御さんの判断能力が低下した後でも、その財産を使って親の生活費や介護費用をまかなうことが可能です。

    信託契約によって子供(受託者)が親の財産を管理・処分できる権限を持つため、銀行口座の凍結や不動産の売却不能といった事態を避け、親の生活を経済的に支えることができます。

    認知症発症後も財産を柔軟に活用できる:家族信託なら、認知症になった後も預貯金の引き出しや不動産の処分がスムーズに行えます。
    相続対策にも有効:信託契約の中で、親が亡くなった後の財産の引き継ぎ先(受益者の二次指定)を決めておくことができるため、遺産分割の手間や争いを減らす効果も期待できます。

    このように家族信託は、親の認知症による資産凍結リスクを防ぐとともに、老後の生活資金の確保やスムーズな相続承継に役立つため、認知症対策として非常に有効な方法と言えます。

     

    任意後見制度との違いや使い分け

    親の認知症対策としては、家族信託のほかに任意後見制度(任意後見契約)も代表的な手段です。

    「任意後見制度」とは、将来本人の判断能力が不十分になったときに備えて、事前に信頼できる人(任意後見人)を後見人に指定しておく制度です。

    本人が元気なうちに公正証書で契約を結び、いざ認知症などで判断能力が低下した際には家庭裁判所に申立てをして契約を発効させます。

    任意後見人には、財産管理だけでなく身の回りの世話や医療・介護の契約手続きを代理する身上監護の権限も与えることができます。

    では、任意後見契約と家族信託は具体的に何が違うのでしょうか。主な違いを整理すると次のとおりです:

    効力発生のタイミング:家族信託は契約を結べばすぐに受託者による財産管理を開始できます。一方、任意後見契約は契約後すぐには効力が発生せず、本人の判断能力が低下したに家庭裁判所の手続きを経て任意後見人による支援が始まります。
    扱える範囲(権限)の違い:任意後見人は預貯金や不動産の管理に加え、介護サービスの契約や入院手続きなど、身上監護の範囲まで含めて本人を支援できます。しかし家族信託の受託者はあくまで財産管理に関する権限のみで、親の介護方針の決定や医療同意などの身上監護は行えません。
    裁判所の関与と管理の柔軟性:任意後見契約は将来発効すると家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、後見人の業務を監督します。そのため定期的な報告義務や監督人への報酬支払いが生じ、公的なチェックが入る仕組みです。一方で家族信託は純粋な私契約であり、裁判所の関与がないため自由度が高く、家族の判断で柔軟かつ迅速に財産を運用できます。

    それぞれの制度にメリット・デメリットがあるため、状況に応じた使い分けが重要です。

    財産の積極的な運用・承継対策を重視するなら柔軟な家族信託が適しています。

    一方、生活介護のサポートまで含めたい場合は任意後見契約が役立ちます。

    また、両制度の併用も可能で、例えば不動産や預金の管理運用は家族信託で行い、医療・介護の契約手続きは任意後見人に任せるといった組み合わせにより、

    親の財産と生活の両面を万全に備えることもできます。いずれの場合も親が認知症になる前、判断能力がしっかりしているうちに準備することが大切です。

     

    信託財産を使って親の生活を守る仕組み

    家族信託を利用すると、親御さんの財産を子供が信託財産として管理し、親の生活のために活用することができます。

    典型的なケースでは、親が委託者(財産を託す人)兼受益者(財産から利益を得る人)となり、子供が受託者(財産を管理する人)となります。

    親が所有していた不動産や預貯金などを信託契約によって受託者である子供名義に移し替えることで、それらが「信託財産」となります。

    〈ケース例〉

    藤沢市にお住まいのBさん(子)は、認知症が心配な母親のために家族信託契約を結びました。

    母親(委託者・受益者)の自宅不動産と預金を信託財産とし、Bさんが受託者として管理します。

    後に母親の判断能力が低下しましたが、Bさんは信託された預金を引き出して介護施設の費用に充て、自宅不動産も必要に応じて売却することで母親の生活資金を確保することができました。

    このように信託財産であれば、親御さんご自身が契約や手続きを行えなくなった後でも、預けた財産を使ってその方の生活を支えることが可能なのです。

    また、信託財産は受託者の固有財産とは法律上区別されるため、仮に受託者個人に借金やトラブルがあっても、信託財産が差し押さえられる心配は基本的にありません。

    親の大切な財産を守りつつ、親のために使う仕組みが家族信託なのです。親御さんの生活を経済的に支えるうえで、家族信託は強力な手段となります。

     

    実務上の注意点(受託者の選任や信託契約の内容)

    家族信託を成功させるには、契約内容や運用方法をしっかり検討する必要があります。以下に、家族信託を組む際の主な実務上のポイントを挙げます。

    受託者を誰にするか

    信託財産を託す受託者は、財産管理の能力と信頼性を兼ね備えた人物を選びましょう。家族だからという理由だけで安易に選ぶのではなく、その人が責任感を持って親の財産を管理できるかを考慮します。

    子どもが複数いる場合は、適任者を主たる受託者に決め、別の兄弟姉妹を予備的な受託者(後継受託者)として定めておくこともできます。

    信頼できる親族がいない場合には、信託会社や信託業務を扱う専門家を受託者にする選択肢もあります。

     

    信託契約の内容設計

    信託契約書には、どの財産を信託の対象とし、受託者がどのような権限で財産を管理・処分できるかを具体的に定めます。

    不動産を売却する権限や、預貯金から親の医療費・介護費用を支出する方法など、細かな取り決めを盛り込んでおくことが重要です。

    また、信託の終了事由(通常は「委託者兼受益者である親が死亡したとき」)や、その後の財産の帰属先も契約で明記しておきます。

     

    信託財産とする資産の選定

    どの資産を信託に組み入れるかも検討が必要です。

    典型的には親名義の自宅不動産や預貯金が信託財産にされますが、他にも株式や貸付金など、将来管理が難しくなりそうな資産があれば信託を検討します。

    一方、日常生活に必要な少額の預金口座などはあえて信託せず親名義に残すケースもあります(ただし、それらの口座は認知症発症後に凍結されるリスクがある点に注意が必要です)。

    信託財産の範囲は家族の事情に合わせて柔軟に決めましょう。

     

    親が亡くなった後の取り決め

    家族信託では、親(受益者)が亡くなった後に信託財産を誰に引き継ぐか(残余財産の帰属先)を契約で指定できます。

    例えば「親が死亡したら信託財産を長男と長女で2分の1ずつ分配する」といった形です。

    これを決めておけば、親の死亡後に改めて遺産分割協議を行わなくても、信託の定めに従ってスムーズに資産を承継できます。

    後々の兄弟間の紛争防止にもつながるため、忘れずに取り決めをしておきましょう。

     

    契約手続きと専門家の活用

    家族信託の契約は公正証書で作成するのが一般的です。公証役場で公証人に作成してもらうことで、契約内容の証明力が高まり安心です。

    不動産を信託する場合は法務局での信託登記も必要になります。

    契約書の内容は専門的になるため、是非弊所にご相談いただき、サポートを受けながら進めることをお勧めします。

     

    家族の合意形成の重要性

    最後に、家族信託を進めるにあたっては家族の合意形成が欠かせません。

    どんなに良い制度や契約を用意しても、家族内で理解と協力が得られていなければ円滑に機能しないからです。

    親の財産を預かる以上、他の兄弟姉妹にも納得してもらった上で進めることが大切になります。合意形成にあたり押さえておきたいポイントは次の通りです。

    事前に家族会議を開く

    親御さんと子世代全員で顔を合わせ、家族信託を利用する目的や大まかな内容について話し合う機会を持ちましょう。皆が参加する場を設けることで、お互いの考えを共有しやすくなります。

     

    親の意思と気持ちを尊重する

    あくまで親自身の財産管理の話ですので、親御さんの希望や不安を丁寧に聞き取りましょう。

    家族信託をすることで親がどのようなメリットを得られるのか、逆にどんな心配があるのかを確認し、本人の意思を尊重して進めることが重要です。

     

    内容の透明性を確保する

    信託契約の内容(受託者は誰か、信託財産や管理方法、亡くなった後の分配方法など)は家族に隠さず共有します。

    特に一人の子が受託者になる場合、他の兄弟が内容を知らされていないと不信や誤解を招きかねません。

    契約締結後も、受託者は定期的に信託財産の状況を家族に報告するなど透明性を保つと良いでしょう。

     

    専門家に説明してもらう

    家族信託や任意後見といった制度について専門家から客観的に説明してもらうのも効果的です。

    司法書士など第三者の立場から制度趣旨や契約内容を説明してもらえば、家族内で共通理解が深まり、安心感にもつながります。

     

    家族全員が同じ方向を向いて協力し合うことで、初めて家族信託の効果が最大限に発揮されます。

    親の認知症や相続に備えて家族信託を検討中の方は、ぜひ一度ご家族で話し合いの場を持ってみてください。

    必要に応じて弊所にてサポートも受けながら、皆が安心できる形で大切な財産を守る仕組みを整えておきましょう。